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この記事について
目的
この記事の目的は以下です。
・「LGBT理解増進法」についてよく知らない人に、何がどう問題なのかを知ってもらうこと
・自分の知識や感情を整理するために、問題点やそれに対する僕の感情を丁寧にまとめること
この記事を書いた理由
「LGBT理解増進法」にはいくつもの問題点が指摘されています。
僕はこの法案についてずっと注視していたわけではないし、詳しいわけではありません。
LGBTQに関心がある人間の中では、疎い方だと思います。
でも、様々な問題点について知るうちに、
「この法案では”理解増進”などできない」と強く思いました。
だから、きっと名前だけ聞くと良いもののように聞こえるであろうこの法案の中身を、
少しでも多くの人に知ってもらうことが重要だと感じました。
この記事は、僕がこの法案について調べる中で、自分なりに理解した問題点をまとめたものです。
成立までの経緯(前半)
成立した内容の前に、まずは経緯についてです。
経緯を知っていた方が、問題点について理解しやすいと思います。
2021年に法案がまとまる
2021年(2年前)5月に、自民党を含む超党派の議員連盟で「LGBT理解増進法案」がまとまりました。
政党の枠組みを超えて、LGBTについて考えましょうという集まりがあって、そこで法案ができていたんですね。
その法案を、国会に提出することで合意していました。
国会に提出された法案は、審議されて可決されれば成立します。
国会に提出されなかった
ところが、与野党で合意していたはずのこの法案、
なんと自民党内の強い反発に阻まれて、国会に提出されなかったのです。
「LGBT理解増進法案」をつくる集まりに居なかった人たちが、反対しまくったんでしょうね。
法案の「差別は許されない」の文言に反発したらしいです。
え?どういうこと?
「差別は許されない」に反対するってことは、差別を許したいってこと?
「差別は許されない」への反発
自民党内での議論では、「差別は許されない」という文言について、
「訴訟が乱発するのでは」
「自分は女性だと主張する男性が、女湯に入るようなケースが生じるのでは」
などという意見が出たようです。
「何でもかんでも差別って言われちゃうと、
差別してないつもりなのに訴訟起こされちゃって困る~(>_<)」ってこと?
訴訟ってのは簡単に起こせるわけではないだろうし、それでも訴訟になるような案件はけっこうな差別を受けているのだと思うし、そもそも訴訟を起こすのは悪いことではないと思います。
女湯云々に関しては、
「男性が女湯に入るのを拒否すると差別だと言われる」こととか、
「トランスジェンダーが女湯に入るのを拒否できなくなって、”女性”の人権が脅かされる」ようなことを懸念しているようなのですが、
その発想自体が、トランスジェンダー女性への偏見に満ちていて差別的であると感じます。
もちろん、社会生活などにおいて性自認が尊重されることはとても重要ですが、
服を脱いで利用する場所である公衆浴場では、身体的な特徴によって男女を区別し、男女別に利用することが通常です。
”男性”と判断されるであろう身体を持った人が女湯に入ったら、それは捕まると思います。
そして、多くのトランスジェンダーの人たちはそれを知っています。
性犯罪は、とても深刻な問題です。
でも、トランスジェンダー女性と性犯罪者を同一視するのは、雑で乱暴すぎると思います。
議員の差別発言
また、同じく自民党内での議論で、以下のような発言があったと報じられています。
「道徳的にLGBTは認められない」
「人間は種の保存をしなければならず、LGBTはそれに背く」
「道徳的に」とか、なんか上から目線で「認める」みたいな言葉を使われてもな。
認める認めないの問題ではなく、存在してますよ。生きてますよ。
でた、種の保存。
別にみんな「よーし種の保存をするぞ!」と思って生きてないでしょ。
色んな人に失礼な発言。
それ以前にも、自民党の議員が差別発言をすることはありました。
2018年に衆議院議員が「LGBTは生産性がない」とか、
2020年に足立区議が「同性愛が広がれば足立区は滅びる」とか。
こういうのを踏まえると、
「差別は許されない」の文言を含んだ法案が可決されると、これまでみたいに差別発言をできなくなって、うっかり口を滑らせると訴訟を起こされゃうと思って嫌なのかな、
だから反対してるのかな、と思ってしまいます。
期待して損した
2021年5月に、法案について与野党が合意したと知った時は、少し期待したんです。
本当は「理解増進」ではなく、具体的な規定を明記した「差別禁止」法ができるべきだと思うけれど、
それでも何もないよりはマシかもしれないし、
G7の中でLGBTQに関する法律が唯一存在しない日本で、ついに成立する時が来るのかもしれない。
でも、提出すらされなかった。
そして、度々報道される差別発言にうんざりしていたところに、また新たな差別発言の情報が入ってくる。
見事に裏切られたような気持ちでした。
心のどこかで、こうなる可能性があるとは思っていました。
だけど、ここまでひどいとは思わなかった。
はいはい、ちょっとでも期待したこっちが悪かったよ、と投げやりな気持ちになってしまいました。
突然の成立
それからしばらく、この法案については議論が進まないままでした。
それが、最近になって突然動き出して、すごい速さで決まったのです。
この辺については、改めて次回の記事で書いていきます。
つづく
今回の記事では、成立までの経緯を説明しました。
経緯の続きと、「LGBT理解増進法」の内容については次回です。
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