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【幼少期~大学時代(ノンバイナリー)】⑤小学生3/3

幼少期~大学時代

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幼少期~大学時代について書くシリーズの第5回です。

「性別」のことが分からない

「女の子」に納得はしていない

僕がおとなしく女の子の裁縫セットを選んだのは、自分が女の子であることや、女の子は可愛いとされているものを持つべきという考えに納得したからではありません。
学校という環境で過ごす中で、みんなと明らかに違うことをするといじめられる可能性が高いことを知っていたので、それを防ぐためです。

女の子が女の子らしいものを好むとは限らないし、
女の子ではないからといって女の子らしいものを好まないとは限らないけれど、
僕自身は、ピンク色も、お人形も、可愛いとされるデザインも別に好きではありませんでした。
だから余計に、性別で色やデザインを分けられることに違和感を持ったんだと思います。

ランドセルの色

僕のランドセルは赤でした。
小学校に入る前のまだあんまり深いことを考えていない時期に、赤を買うんだよと言われ、へ―そうなんだと思いながら買ってもらいました。
小学校に入ってから、ランドセルが赤の人と黒の人がいるなあとは思っていたけれど、まさかそれが性別で分かれているとは思っていませんでした。

人間は自覚した途端に突然視野が広がるものなので、裁縫セットの件で色やデザインにモヤモヤし始めてから、そういえばランドセルも、と気づいたのでした。

僕は赤より黒の方が好きで、黒のランドセルいいなあと思っていました。
自分のが赤である理由が女だからだとはっきり気づいたとき、自分ではどうにもできない大きな何かを諦めるような、虚しいような、なんとも嫌な感じの気持ちになったと思います。

性別と色の関係

自分が過去に考えていたことを振り返って、ランドセルの色については、ちょっと考えれば、もっと早く気づいたんじゃないかなと思いました。
そうならなかった理由は、自分の頭の中に、色で性別を判断するような思考がなかったからだと思います。

算数の文章題について、”合わせる”と書かれていたら足し算だよと言われれば、
そりゃそうだよね、同じ意味だよねと納得できたし、簡単に覚えられたけれど、
個人の持ち物について、赤やピンクを持っていたら女の子だよと言われても、
色と性別は関係あるの?と思って納得できず、いつまでも理解できませんでした。

ランドセルの色が性別で違うことは、自分で気づく前に誰かに説明されたことがあったかもしれませんが、
たとえ何回説明されていたとしても覚えられなかったんだと思います。

納得と当たり前

納得できないものを覚えられないというのは、性別全般に関して起こっていた気がします。

裁縫セットに関しても、例えば「小学生用」「中学生用」が同じカタログに載っていたとしたら、好きなのを選べと言われても、僕は中学生用から選ぼうとはしなかったはずです。
自分が小学生であるということを理解し、その事実に納得していたから。
小学生なんだから、ご丁寧に「小学生用」と書いてある所から選ぶのが当たり前だと、そんなの言われなくても分かると考えたと思います。

でも、性別に関してはどうもそうはいきませんでした。
自分が女の子だということに対してなぜだろうと思っていたし、女の子用の中に好きなものが無かったら男の子用から選べばいいと思っていました。
どうせ中身は同じ裁縫道具が入っているんだから、どっちでもいいだろう、大した差は無いだろうと思いました。

自分の性別用から選ぶのなんて、そんなの当たり前じゃんと周りのみんなが思っていたとしても、僕にとっては全然当たり前ではなかったのです。

生理について

ナプキンの使い方の指導

5年生のとき、修学旅行の前に、女子児童だけが集められて生理用ナプキンの使い方を指導されました。それがとても嫌でした。

知識としては、自分にいつか生理が来るであろうことは知っていました。でも、来ないでほしいと思っていたし、頭のどこかで、来ないんじゃないかと思っていました。
まだ「自分は女の子ではない」とはっきりした自覚があるわけではなかったものの、自分が女の子であるとされていることに現実感が無いような、どこか架空の話のような気がしていたのです。

生理がとても怖かった

僕が嫌だったのは、女子がナプキン講座を受けている間に遊んでいた男子に「何の話だった?」と聞かれることよりも(それも嫌でしたが)、生理の説明や、ナプキンの使い方の説明そのものでした。

もちろん生理が来てしまったときに対処できる方法を教えてもらえるのは助かります。生理がなぜ来るのか、ある程度の知識は必要だと思います。

でも、将来赤ちゃんを産むためにとっても大切なことだよと、まるで生理が来るのは嬉しいことであると言い聞かせるような姿勢で話すのは、やめてほしかった。
当然のように、みんな生理が来るんだよと言わないでほしかった。

生理が来ると、血が出たり、お腹が痛くなったり、体調が悪くなったりすると説明されました。
それはそれで嫌ですが、でもそうではなく、”赤ちゃんを産むために必要な”生理というものが自分に来るというのは、真っ暗でよく見えない、とても大きな恐怖のような気がしました。

当時はなぜ怖いのか分からなかったけれど、それはきっと、来てしまうと、自分が「女性」である証拠ができてしまうと、無意識に感じていたからだと思います。

つづく

次回は中学生の頃の話です。

つづきはこちら↓

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