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新卒で入った会社を辞めた理由①

職場
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今回の記事は、新しいシリーズの第1回。
全部で何回になるかはまだ分からないが、就活~会社を辞めるまでを書いていく。

時系列でいうと、このシリーズの続き。↓

辞めた理由はいろいろあるが、
よくある仕事内容の不満や人間関係のほかに、
性自認やジェンダー規範に関連するストレスがかなりあったことも大きい。

就活を始める

就職したくない理由

大学3年くらいになると、周りが就活を始めたので自分も始めた。

就職などしたくはなかった。
自分にとっての就職のイメージは、高校生の頃とたいして変わっていなかったからだ。
スカートを履いて、メイクをして、「女性らしく」して働く、なんてしたくない。
せっかく大学生になって自分らしく生きられそうだったのに、それを潰して生きていくなんてことが自分にできるのだろうか?そんなの、生きてる意味がない。

働くということに対するイメージが幼稚だったのは、ロールモデルがいなかったからだと思う。
自分のような「女性らしくしたくない人間」が、無理に女性らしくしないまま、社会で活躍している姿なんて、見たことがなかった。
見たことがないだけで実際にはどこかに居たんだろうけれど、当時の自分には、自分と似たような人が社会に出て働いている想像が全くできなかった。
だから、女性らしくしないと就職できないんだと思っていた。

つまり、自分にとって就職するということは、女性らしく振舞うということだった。
お金を稼ぐのは大変だからとか、仕事って難しそうとか、そういうことではなく、
女性らしくしたくないから就職したくないと思っていた。

就活を始めた理由

女性らしくしたくないから、就職とか仕事とかのことを考えたくなくて、情報収集すらもしなかった。
今考えると、自分で情報を取りに行けばもしかしたらロールモデルが見つかったかもしれないし、自分が就きたい職業も見つかったかもしれない。
ちゃんと調べておけばよかったと思うけれど、当時の自分は就職のことを考えるだけで脳がフリーズして、細かいことを考えられなくなっていたので、情報を得ようなんて考えなかった。

大学では就職関連の講義も存在していたが、それにも出席しなかった。
通っていたのが女子大であり、その講義の名前が「女性の就職のなんたら」とか「女性が社会で輝くなんたら」みたいな感じだったからだ。就活メイク講座とかもあった。
講義の名前を読んだだけで脳が拒否した。
女子大に進学したことで良いこともたくさんあったが、こういうところはすごく嫌だった。

就職したくないとはいえ、他の選択肢は思い浮かばなかった。
大学院に行くのでなければ就職するのが当たり前みたいな、就活をしないと周りに置いて行かれるような、就職できないとダメみたいな、そういう社会の圧のようなものに飲み込まれて、
世の中にはどんな仕事があるのかも全然知らないまま、焦りと不安に背中を蹴っ飛ばされるように押されて、就活を始めた。

会社を決める

条件

学内で行われる合同会社説明会などに参加してみて、仕事内容に興味がある会社を見つけても、
制服がスカートとか、女性用のスーツを着なくてはいけないとか、メイク必須とか、仕事が男女で違うとか、そういうのばっかりで選択肢が自然と狭くなっていった。

自分にとって、就職するうえで一番嫌なのは女性らしくしないといけないことだったので、
仕事内容や給与よりも、「女性らしくしなくてもよさそうな会社」を探すようになった。

そして、制服がズボンで、ヒールのある靴を履かなくてもよくて、女性らしさを求められずに仕事できそうな会社を見つけた。
警備会社である。

大手は入社後男女で仕事内容が違うと明記されていたので辞めた。
地元のまあまあな規模のところを受けたら内定をもらったので、そこに就職することにした。

カミングアウトの有無

当時、履歴書の性別欄には「男・女」と書かれており、どちらかを選択する必要があった。
本当はどちらも選択したくなかったが、書類の不備とみなされるのが怖くて、仕方なく「女」にしっかり丸を付けて提出した。

自分は性自認が男女どちらでもないんです、とカミングアウトするのが一番自分らしく働けると思ったが、その勇気はなかった。
カミングアウトしたら落とされると思っていたし、したところでどう対応してほしいのかをうまく伝えることも出来ない。

「男性」「女性」しか共通の概念がない中で、「どちらでもない人間として扱ってください」と伝えても、きっと何も伝わらない。
当事者である自分ですら、こう対応してほしいと具体例を挙げることができない。
挙げられたとしても「こうしてほしい」ではなく、「こうしないでほしい」ばかりなので、軽率なわがままと捉えられるかもしれない。

そんなリスキーなことを、選択肢がとても少ない中で見つけた会社の面接で、できるわけがない。

だからカミングアウトをせずに就活をした。

カミングアウト無しのデメリット

カミングアウトをすることのデメリットはたくさん考えられるが、
カミングアウトをせず、自分の性自認を伝えないデメリットももちろんある。

「女性」として振舞うことで精神的苦痛を感じ続けるのは大きなデメリットだが、それだけではない。

就活ではいくつかの会社を受けたが、
ある会社の面接で、突然服装についての質問をされた。

「普段の服装はスカートとズボンどちらを好みますか」みたいな質問をされ、
ズボンを履くこと、スカートは持っていないことを会話の中で答えた。
すると「なぜスカートよりもズボンが好きなんですか」と聞かれた。

結局何のための質問だったのかは今考えても何もわからないのだが、当時はもっと混乱した。
正直に答えようとすると「周りに女性らしいと思われるのが嫌だから」という回答になるが、
その回答では性自認の説明をする必要が出てくるのではないかと思い、ものすごく焦った。

もちろん、そんな質問に対しての就活用の回答など用意していない。
何と答えたのか覚えていないが、一応何かしらの発言はした記憶と、「意味不明なこと言っちゃった」という後悔の記憶だけは残っている。
面接の担当者も、「なんだこいつ、いきなり挙動不審になったな」と思ったことであろう。

このような質問をされるケースは珍しいと思うが、
「カミングアウトに掠ることは言わないようにする」と決めて就活していたから、自然に答えられなかったのだと思う。

のちに入ることになる警備会社の会社説明会でも、
質問したいことがあったのにカミングアウトに繋がるのが怖くて聞けなかった。

制服についてである。
説明会でもらった資料を見る限り、男女の制服が同じように見えるが、本当に同じなのだろうか?
制服に男女差がないというのは自分にとって非常に喜ばしいことだったが、果たして本当に同じなのか確認しておきたかった。

しかし、あまり細かく質問しても不審がられるかもしれないと思い、聞くことができなかった。
なぜそんなことが気になるのかと問われたら、最終的にカミングアウトするしかないと思ったからだ。
考えすぎ、不安になりすぎ、と思われるかもしれないが、
こっちは就活している間、常に何かに怯えて緊張しているので、そんなものである。

そしていざ入社してみると、やっぱ違うじゃねえか!!!!!がっかりだよもう!!!!!
自分が聞かなかったのが悪いんだけどさ。勝手に期待して勝手に裏切られてるだけなんだけど。
だいたい一緒でも細かいところが違うし、警備の内容によっては男女で帽子が違う。なんでだよ。

カミングアウトをしないと、答えられないことや聞けないことが出てきてしまう。
本当はそれを見越して、もっと色々考えて、いろんな想定をして、しっかり準備しておけばよかったのかもしれない。でもそんなの大変すぎる。
その大変さが、カミングアウトをしないことのデメリットのひとつだと思う。

就活を続けなかった理由

大学4年の5月くらいに、警備会社に内定をもらった。

その日は他の会社の面接の日だったのだが、
面接の直前に内定のメールを見てしまい、落ち着かない気持ちで面接を受けた。

別にそのせいではないんだろうけど、その日面接を受けた会社には落ちたので、
じゃあ警備会社に行くかと思って、もうそれ以上就活は続けないことにした。

女性用のスーツを着て、ヒールのある靴を履いて、履歴書の「女」に丸をつけて就活するのが嫌すぎて、さっさと終わらせたかった。

満足していたわけではない

給与は高くないし、
やりたい仕事というよりも「やりたくなくはない仕事」くらいだったし、
その会社に行くという選択に100%納得できているわけではなかった。

でも、自分はこの仕事をしたいんだ、この会社に入りたいんだ、と言い聞かせた。

秋の内定者研修に参加して、あー会社選び間違えたかなと正直思ったが、
もうその時期には他に受けられる企業も少なくなってきたし、そもそも就活したくないので、もうこの会社に入るしかないと腹を括った。

大人しく何かしらの資格を取っておいた方が安泰だったな、と今は思う。
基本的にはなんの資格も取れない学科にいたので、本当は大学に入る前から将来を考えていれば、何か違ったのかもしれない。
でも、昔から明るい将来なんて見えたことがないので、その状態で将来のことを考えて進路を決めるなんて、自分には出来なかった。

つづく

この記事では、大学3年から4年にかけての就活についてまとめた。
嫌だったが、社会の圧に負けて就活をし、入る会社を決めた。

次回は、入社後のことについて書く予定。

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