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「されたら嫌なことを人にしちゃダメ」のもやもやを考える 5/5

価値観・思考

前回の記事の続きです。

前回はこちら↓

人と関わる前に知っておきたかったこと

ここまで、さんざん「されたら嫌なことを人にしちゃダメ」の良くないところを書き連ねてきましたが、
子どもの頃って本当になーんにも知らなかったから、「されたら嫌なことを人にしちゃダメ」を言葉通りすべて信じようとして、訳が分からなくなったんだろうなと思います。

子どもの頃にどういう事を知っていればもう少し楽だったか、考えてみようと思います。

大人はいつも正しいわけじゃない

まず知りたかったのは、大人はいつも正しいわけじゃないということです。

うっかり間違えることもあるし、
いつも正解を知っていて常に模範的な行動をする完璧な存在ではないし、
分からないこともたくさんあって、それを誤魔化すこともあります。

子どもの頃の僕は、大人はすべてのことを知っていて、いつでも正しくて、
訊けば何でも正解を答えてくれるんだと思っていましたが、本当はそんなことはありませんでした。
僕はそれをもっと早く知りたかったと思います。

知っていれば、大人が本当に正しいことを言っているのかを疑い、自分の頭で考えることが出来ていたかもしれません。

相手と自分の感じ方は違う

小さい頃の僕は、
相手の気持ちは分からないものであるという当たり前のことを、知りませんでした。
もっと早く、生活の中で自力で気づけていれば良かったのですが、
気づく前に「自分がされたら嫌なことを人にしてはいけない」を教わってしまったのです。

僕にとって、何の説明もなく、いきなり「自分がされたら嫌なことを人にしてはいけない」と禁止事項だけを伝えられたことは、
「自分がされたら嫌なことは相手もされたら嫌なんだよ」と教わったことと同じでした。
本当はそんなわけがないのに、みんなが常に同じ事に対して嫌だと感じるのだと誤解をしました。

もし初めから、同じ状況にあっても人によって抱く感情が異なることを知っていれば、
「自分がされたら嫌なことを人にしてはいけない」を忠実に守らない方がいいときもあると気付くのがもっと早くなったかもしれません。

自分の頭で考えることの大切さ

相手と仲良くしようと思うのであれば、出来るだけ相手が嫌がることをしない方が円滑にコミュニケーションを取れます。
そして、自分がされたら嫌なことは相手にとっても嫌な可能性がある、という想像力は大切です。

しかしそれは、「自分がされたら嫌なことを人にしてはいけない」とイコールにはなりません。
「してはいけない」と禁止をするほどのことではないと思いますし、「自分がされたら嫌なことは人にもしない方がいいかもしれない」くらいが妥当だと思います。

されたら嫌なことを人にするかどうかは、その行動のメリットやデメリットを自分の頭で考えて決めることであって、人に強制されることではありません。

自分の感情を把握することの大切さ

そもそも、「自分がされたら嫌なことを人にしてはいけない」というのなら、
自分がされたくないことを知っておく必要があります。
そして、それはとても難しいことです。

大人が言う様々な「あれはダメ」「これもダメ」によって、
自分が何が好きで何が嫌いで、何に対して喜びを感じて、どんなときに悲しくなるのか、といったことを考える力が、必要無くなってしまったような気がします。
自分の頭で考えなくても言われた通りに行動していれば褒められるし、逆に自分の考えを言うと怒られることもあります。

本当は、自分が何に対してどう感じるのかを良く知っておくことはとても大切です。

特に嫌なことについては、目をつぶったり耐えたりするのではなく、
嫌だと相手に伝えたり、相手から嫌だと言われたらその後のやり取りに活かしたりすることが、
とても健全なコミュニケーションであるように思います。

みんなと仲良くしなくてもいい

「自分がされたら嫌なことを人にしてはいけない」のは、すごく簡単に言うと周囲と仲良くするためなんだと思います。

でも、別に仲良くすることが良い選択とは限りません。
関わるといつも不快になる相手や、相手を知るために対話を試みてもどうやっても話が通じない相手など、関わるデメリットの方が大きい人とは、自分を守るために距離を置いた方が良いと思います。

子どもの頃はみんなと仲良くしなくてはいけないものだと思っていたので、
人を嫌うのが悪いことだと思っていたし、苦手な相手と関わりたくないと思う自分の感情に対して、罪悪感を持っていました。

もっと早く知っていたら

もちろん、上記のことを知るだけでコミュニケーションがうまくいくわけではありませんが、
少なくとも僕は、小さいときに知っておきたかったと思います。

知っていれば、もしかしたら、
自分の意見や感情を持って過ごせていたかもしれないし、
人間というものを嫌いにならなかったかもしれないし、
他人と意見交換をしながら成長できたのかもしれません。

僕は高校生くらいまで自分の感情を認識するのが下手だったので、
大学生になってから、「これが……喜び……!?」と感情を獲得したAIみたいになりました。
もうちょっと早くそれになりたかった。

まとめ

というわけで、「自分がされたら嫌なことは人にしちゃダメ」について長々と考えてみました。

あまり綺麗にまとまってはいませんが、ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。
なんとなくずっと思っていたことをテーマに書いてみようと思ったら、書ききれないことをだいぶ削っているのに、自分でも読むのが面倒なくらい長くなりました。

僕が人間と関わるのが苦手な理由は「自分がされたら嫌なことは人にしちゃダメ」だけではないはずで、
「大人の話はよく聞きましょう」とか、みんな同じが良いとされる学校教育とか、他にも色々な言葉や経験が影響していると思いますが、
この言葉は確実に、ある程度の影響があったと思います。

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